家の中で見かける小さなハエ、いわゆる「コバエ」は、実は一種類ではありません。代表的なものに、チョウバエ、ショウジョウバエ、ノミバエ、キノコバエなどがおり、それぞれ見た目や発生する場所、好むものが異なります。効果的な対策を行うためには、まず飛んでいるコバエがどの種類なのかを見分け、その発生源を特定することが重要です。今回注目しているチョウバエは、比較的見分けやすい特徴を持っています。体長は1~5ミリ程度で、全体的に黒っぽく、翅がハート型や逆ハート型に見えるのが最大の特徴です。体表が毛で覆われているため、モフモフとした印象を受けることもあります。飛び方はそれほど俊敏ではなく、壁や天井に止まっていることが多いです。そして、チョウバエの主な発生源は、これまで述べてきたように、排水口や排水管、浄化槽などに溜まったヘドロ状の汚泥(スカム)です。幼虫はこのヘドロを食べて成長します。一方、キッチン周りでよく見かけるコバエの代表格がショウジョウバエです。体長は2~3ミリ程度で、体色は黄赤色から黒褐色、目が赤いのが特徴です。比較的素早く飛び回り、特に熟した果物や野菜、調味料、アルコール飲料などに強く誘引されます。発生源は、放置された生ゴミ、腐りかけた果物や野菜、空き缶や空き瓶に残った飲料などです。ゴミ箱周りやキッチンの三角コーナーなどが主な発生場所となります。ノミバエも家庭内でよく見かけるコバエです。体長は2ミリ程度で、体色は黒褐色、背中が丸まっているような体型をしています。名前の通り、ノミのように素早く歩き回ったり、跳ねるように飛んだりするのが特徴です。非常に腐敗臭に敏感で、生ゴミだけでなく、動物の糞尿、排水口の汚れ、時には動物の死骸など、あらゆる腐敗した有機物から発生します。発生源が多岐にわたるため、特定が難しい場合もあります。キノコバエは、観葉植物の周りなどで見かけることがあるコバエです。体長は1~2ミリ程度で、黒っぽく華奢な体つきをしています。湿った土壌や腐葉土に含まれる有機物を好み、観葉植物の土から発生することが多いです。このように、コバエの種類によって発生源は大きく異なります。もし家の中でコバエを見かけたら、まずその種類を特定し、種類に応じた発生源を探すことが、的確な駆除と予防への近道となるのです。